「ツチノコ伝説」

詳細な場所はここで書けないが、ある2名の主婦の証言、またその近所に住むの男性の証言から「ツチノコ」に関する情報を得たので記録しておこう。
それは今から20年前、彼らが住んでいる地域の山間部での話しで6月中頃の蒸し暑い日、茅を刈るために雇われた2人の主婦がもう昼近くになったので、山を降りて自宅まで昼食を取りに帰ろうとしたときのことだった。

その茅山(茅を刈っている場所)は大昔大蛇が現れ村人を困らせていたとき、1人の神様が近くを通りかかり、その大蛇を9つに切り刻んで退治したときできたとされている池(池と言っても現在はほとんど水はなく単なる湿地帯だが)の1つとされている場所で、少し外れると急峻な土手になっているところだが、その土手に差し掛かった2人の主婦は、土手の端に今まで見たこともない生き物を発見した。

体長は50センチくらい、ちょうどビール瓶のような形で蛇のような肌と色、マムシのような模様に三角の蛇のような頭の付いたその生き物は主婦たちを見ると、その頭の先にある大きな口を開けてグルグルと言うような声で威嚇してきたのだった。

恐ろしくなった主婦たちは慌ててその場から逃げようとしたが、それに驚いたその生き物はさらに慌て、土手を丸太のようにコロコロ転がって茅藪に消えていったのである。
当時その生き物が何なのかまったく見当もつかなかった主婦たちは、その後みんなにその話をしたが、本人たちでさえ理解し得ないものを人に話して理解されることもなく今日に至っていたが、昨年偶然にもツチノコの話がテレビで放映されて始めて自分たちが見た不思議な生き物がツチノコだったことに気づいたのである。

ツチノコは日本全国に目撃例がありながらいまだかつて1匹も捕獲されたことのない謎の生物で、山かがし(毒蛇の1種)がねずみを呑んでいるのを見間違えたのではないか、また蛇ではないかとも言われているが、主婦たちは村に住んで40年以上のベテランであり、山かがしでは絶対ないし、あんな転がって逃げるようなことはないとし証言している。

またこの取材をしている最中、80歳の男性がやはりこの付近の別の場所で40年ほど前、同じような謎の生き物を見たとも証言した。
現場へ行ってみたが、確かにいにしえの伝説が残るにふさわしい場所で、黄土色のススキが裏寂しそうに風にたなびいていた。

大蛇の伝説に近い話は田舎では比較的よくある伝説だが、蒸し暑い日の出来事、形状、その行動、主婦達の証言からしても、この話は信憑性が高く、少なくとも20年前にはここに「ツチノコ」がいたことはほぼ間違いないのではないかと思ったのだが・・・。