| 「次からお前が家族分の小麦を受け取りに来い、いいな」そういって男は少女の胸と尻を粗末な服の上から撫で回したが、それに驚いたような顔をした少女に対してさらに男はこう言う、「いいかこのことは誰にも言うんじゃないぞ、もし誰かに話したらお前には小麦をやらないからな・・・」
それからと言うもの、食料支援を受け取りに行くのは必ずこの少女の仕事になり、少女は男から毎回体を触られるなどし、そのうち男は少女に対して暴行を働くようになったが、こうした事実を少女はおろか、その家族ですら知りながら誰にも言えなかった。 その結果どうなったかと言うと、この男の所へ食料の支給を受けに来るのは、全員14歳から18歳までの少女と言う事態となり、彼女たちは列を成して支給日には並んでいて、他の職員たちもこうした事実に気づき始めていたが、なぜか誰も内部告発するものがいなかったのである。 1980年代アフリカ、地名や個人名は出せないが、この事件は実際にあった話である。 さらに多額の援助資金は不安定なアフリカの政治体制の中、政権と癒着した国連職員によって資金還流され、職員の懐に入れられていた・・・と言う事実も少なからず横行していたが、こうしたことが許された背景には、それほど混乱したアフリカの姿があったからだ。 また以前に聞いた話だが、日本が国連の常任理事国入りを目指していた頃、実際に外務省関係者がアフリカの代表からこんな話をされたことがある。 この話、実際に常任理事国となると、拒否権を持つ国の問題もあることから、そのまま受け取ることはできないが、これまでの非常任理事国の選挙でも、多額の工作資金を使ってきた日本に対する言葉としたら、少々足元を見られた話ではある。 だがこの国際連合、もともとは太平洋戦争時の日本、イタリア、ドイツと言った枢軸国に対する国家連合から移行したもので、例えば韓国などでは「国際連合」と同じ意味を用いているが、中国や台湾などでは国家連合のままの意味であり、国際連合は部分的とは言え、戦時の国家連合の要素もそのまま移行してきている部分がある。 その最たるものが「敵国条項」と言うものだが、これは第二次世界大戦当時、日本、イタリア、ドイツなどと言った枢軸国、これにルーマニア、ハンガリー、フィンランド、ブルガリアを加えた7カ国に対して、国際連合発足当時の加盟51カ国が、加盟国に敵対する存在として定義したものであり、この条項にはその後、具体的な国家の名前が記載されないことになってから、逆にうがった見方もできてしまうのは事実であり、国連に加盟すると同時に条項から除外されることになるため、実質効力はないものの、日本やドイツは戦争を彷彿とさせる、このような条項の削除を求めてきているが、未だにこの条項の削除は実現していない。 そして日本が求めている常任理事国入りの件だが・・・、実はこの日本の希望は非常に難しい・・・と言うより、絶対に実現しない。 またこうした常任理事国入りにいては、それぞれに経済的な力を付けたブラジルやインドなども、同じ方向へと動いてくることになり、日本やドイツはこれらの国々と協調して常任理事国入りを目指したが、この動きが起こってきたのはイラク戦争が始まった頃、国連がアメリカの意思だけで動いていく傾向に対する批判から、国連改革がうたわれ始めてきた時期だったが、アメリカはこうした批判をかわすとともに、日本、ドイツ、インド、ブラジルの結束を乱すために日本のみの常連理事国入りを表明する。 何ともしたたかな方法だが、これによって日本はイラク戦争に反対できなくなっていったのである。 そしてこうした常任理事国問題は世界的な経済危機とあいまって、遅れている国連改革の中に埋没し、今では国連内部でも、常任理事国内部でも話し合われることはなくなったのではないだろうか。 国連の決議は一般議案が加盟国がそれぞれに持つ、1国1票によって過半数の多数決で決議されるが、重要決議はその3分の2の賛成が必要となり、しかもその決議には法的権限がなく、加盟国への勧告と常任理事会への勧告と言うことまでに留まり、結果として法的根拠を持つ決議権は常任理事会、常任理事国しか持っていないのである。 そして日本は、2000年には実に国連の予算の20%を負担していたのだが、もともと国連には特定の国家が経済的な支配を強めないように、1国家が国連総予算に対して拠出できる「負担率」に上限を設けてあり、この最高位にあるのがアメリカの22% で、当時の日本の拠出額は異常だったことから、日本はこうした拠出額でありながら、常任理事国入りができないのはおかしい・・・と言う苦言を国連に呈するが、常任理事国入りも、拠出金の負担率軽減も国連は認めなかった。 その後日本の経済的な悪化から、現在は国連予算の16・62%を日本が拠出しているが、第1位のアメリカはともかく、日本が2位でこの割合である。 通常国連の予算決算は12月に行われ、分担金の拠出は翌年の1月に請求されるが、そこから30日以内の納付が義務付けられている。 ちなみに国連予算負担割合の下限は0・001%であり、こうした国の1票も日本の1票も何も変わらない・・・。 |