彼方の道

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遠いむかし・・・・
わたしの祖父は、いつも土手の上にあった大きな梅の木の下で腰をおろし、
この山を越える一本の道を眺めていたものだった。
いつだったか、そのことを思い出した私は、同じように梅ノ木の下に立ってみた。
だが、そこから見える夕方の景色は、漫然とある唯のいつもの景色に過ぎない・・・・。

 

こんなつまらないものを見ていたのか・・・。

 

そのとき、遥か道の彼方から、何か小さな点がこちらに向かって
自転車をこいで来るのが見えた。

 

「あっ、あれは・・・」

 

わたしはこのとき、祖父がいつも何を待っていたのか・・・、
それが分かった・・・・。