「風を追い越して・・・」

夏の日、しかも夕方になって、殆ど残っている者もいないこの学校へと続く坂道を、3分の1ほどの水が入ったバケツを両手に持ち、彼女は口から心臓が飛び出るのではないかと思われるほど激しい呼吸で、何度も走って駆け上がっていた。 私...