「天の怒り」・3

「それはどこか熟し切った杏(あんず)の匂いに近いものだった。彼は焼け跡を歩きながら、かすかにこの匂いを感じ、炎天に腐った死骸の匂いも存外悪くないと思ったりした。が、死骸の重なり重なった池の前に立ってみると、「酸鼻」と云う...